家具の中でも、特に慎重に選びたいものの1つにチェアが挙げられます。

チェアは、常に体に触れているため、自分にとって座り心地の良いものや気に入ったものを選びたいですよね。 

チェア選びの際に注目したいのが、チェアに使用されている樹種や仕上げ方法です。

家具に使用される木材にはそれぞれ特徴があり、どの樹種を選ぶのかによって家具の雰囲気や肌触りが大きく左右されるからです。

今回は、日頃からインテリアコーディネーターとして家具提案を行っている筆者が、チェアの樹種と仕上げ方法についてお話します。

それぞれの特徴をもとに、自分にぴったりなチェアを探してみてください。

|広葉樹と針葉樹の違い

木は針葉樹と広葉樹の2種類に分けることができます。針葉樹は、文字の通り葉が針のように細いものが多く、広葉樹は平たく幅広い形の葉を持ちます。



広葉樹


広葉樹の代表的な樹種としては、ナラやウォールナットなどが挙げられます。広葉樹の幹は太く、曲がって生えているものがほとんどで、細胞の配列も針葉樹に比べて複雑なため、硬さと強度がある木として知られています。



針葉樹


針葉樹は、ヒノキ、杉、マツといった樹種に代表される木で、幹が真っすぐ上に伸びており、比較的軽量で加工がしやすいという特徴があります。細胞の配列も規則的で整然としているため、比較的加工がしやすく柔らかいという性質もあります。




チェアは体重をかけたり動かしたりすることが多いため、硬さや耐久性が求められることが多く、使用される樹種の多くが広葉樹です。


広葉樹

針葉樹

|チェアに使用される樹種とは

それでは、チェアに使われる代表的な樹種の特徴をみていきましょう。



・ナラ


ナラはブナ科の広葉樹で、どんぐりがなる木として日本人に親しまれています。

重厚感のある木肌と強度の高さが特徴で、その耐久性や耐水性から、床材や家具などに多く選ばれます。

北米産のホワイトオーク材とよく似ているため、オーク材と混同してしまう人も多くいますが、ナラの原産国は日本やロシアが主です。 

ナラの木肌は細かく繊細で、美しい木目を持つのが特徴。

黄みがかった白っぽい色味の木肌ですが、経年変化により徐々に色が飴色へと濃くなっていきます。

虎斑(とらふ)と呼ばれる、虎の背中のような縞模様が出ることでも知られ、その優しい風合いと素朴さが多くの人を魅了しています。 

木の主張が少なく明るく優しい色味が特徴のため、ナチュラル系インテリアや北欧風インテリアにおすすめの樹種です。




・ウォルナット


マホガニー、チークと並び世界3大銘木として知られるウォールナットは、高級材として世界中で愛されている木です。

紫みを帯びた暗褐色の木肌が特徴ですが、経年変化により徐々に色が明るくなり、赤みを帯びた茶褐色へと変化していきます。

材質は、硬く粘り強いのですが、軽く加工がしやすいという特徴もあり、昔から家具や建具、床材として使用されてきました。 

落ち着きのある色調と、流れるような木目やツヤ感が高級感を感じさせてくれるため、重厚感の感じられる落ち着いた空間を演出したい人や、モダン系インテリア、高級感のあるインテリアがお好みの方におすすめです。




・メープル


木の真珠と呼ばれるほど、木肌の光沢が美しいことで知られるメープル。

日本では、楓や紅葉という名称で親しまれています。表面が非常に滑らかで、すべすべとした肌触りが特徴。

明るく全体的にピンクがかった白っぽい色味をしていますが、経年変化により徐々に飴色へと色が濃くなっていきます。

硬さや粘り気の強い素材としても知られ、楽器や野球のバットなどに使用されることがあります。 きめ細やかな木肌は、優しさと温かみを感じさせてくれるため、明るく清潔感のあるお部屋を目指す人におすすめの樹種です。

ナチュラル系インテリアや北欧風はもちろんですが、濃い目の家具と合わせてメリハリをつけるコーディネートも良いでしょう。




・チェリー


サクラの一種であるチェリー材ですが、家具に使用されるチェリーは主にアメリカンブラックチェリーという木を指します。

チェリーの大きな特徴を挙げるとすると、高級感のある滑らかさと、色の変化の速さでしょう。 

チェリーはきめ細やかな木肌を持ち、高級感を感じさせる光沢があります。初めは薄いピンク色をまとった肌色に近い色ですが、どんどんと色が変化し、赤みを増した濃い赤褐色に。

チェリー材の家具を購入すると、1年後にはかなり色が濃くなりますので、他の樹種と比べても、かなり早いスピードで色の変化が楽しめます。 落ち着いた雰囲気で高級感のあるチェリーは、シックなテイストにおすすめです。

また、落ち着いた色味のため、ヴィンテージテイストのインテリアにもマッチします。




・アッシュ


アッシュ材は北米産の広葉樹で、日本ではタモ材として親しまれている樹種の仲間です。

白く美しい木肌と、力強くはっきりとした木目が特徴的で、床材や家具に使用すると、木の感じがより強調された雰囲気に。長く使ううちに黄色味が強く変化し、大胆な木目がより鮮やかになります。

ナチュラル系のインテリアにはもちろん、和風のテイストにもマッチするため、幅広いインテリアに取り入れることができるのも魅力の1つです。

|チェアの仕上げ方法

オイル仕上げ


木部の乾燥を防ぐために、植物性のオイルを木肌に浸透させる仕上げ方法です。

しっとりとした木そのままの質感を楽しむことができるのが魅力で、ナチュラルな質感がお好きな方におすすめ。

傷や汚れがついた場合には、紙やすりで削ることで補修も可能です。

使用しているうちにオイルが少しずつ抜けていくため、半年~1年に1回程度は専用のオイルを塗り直す必要がありますが、メンテナンスの度に風合いに味が出てくるのもオイル仕上げの魅力。自分でメンテナンスをしながら、チェアの風合いの変化を楽しみたい人におすすめです。



ウレタン塗装仕上げ


木部の表面にウレタン塗料を塗布し、表面を塗膜コーティングする仕上げ方法です。

木の表面が薄いウレタン塗膜で覆われるため、オイル仕上げの家具と比べると若干ツヤのある仕上がりになります。しかし最近では、ウレタン塗装でもマットに仕上げる技術が向上してきているため、昔のようにツヤツヤとした仕上がりの家具は少なくなりました。

塗膜で木部を覆ってしまうため木の呼吸は止まり、ほとんど風合いは変化しません。

傷つきにくく水拭きもできるため、お子さんがいるご家庭に人気のある仕上げ方法です。




|まとめ

チェアに使われる樹種と仕上げ方法についてお話しました。

選ぶ樹種や仕上げ方法によって、チェアの雰囲気や手触りが大きく左右されます。

それぞれの特徴を知って、自分に合ったお気に入りのチェアを探してみてください。


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